こんにちは。
NHK Eテレで放送している『サイエンスZERO』。毎回毎回いま話題の最先端の科学と技術をとっても分かりやすく解説してくれるので、ワタクシの大好きな番組でもあります。今回は、2020年7月12日放送の「“withコロナ時代”に いまこそ知りたいウイルスの正体」ご紹介します!
専門的で難しそうなことは、京都大学のウィルス・再生医科学研究所の朝長啓造(ともながけいぞう)先生が分かりやすく解説してくれます。そして、司会のこじるりさんと森田アナの問いかけ・コメントのキャッチボールで一般の人でもさらに理解が深まる絶妙な進行です!
ウイルスとは何なのか?新型コロナと向き合っていく時代に、知っておきたい情報を専門家とともに深掘りしていく。感染の仕組みや、病原性を左右する要素など、ウイルスがわれわれに脅威をもたらす背景が明らかに。そして今、ウイルス研究自体も大きな転換点を迎えている。ウイルスと生物の関わりは、長い進化の過程を経て驚くべきバランスを生み出していた。これまでの常識から大きく飛躍する「ネオウイルス学」にも迫る。
サイエンスZEROで知っておきたいウィルスの正体をご紹介!〜放送日と出演者は?
【放送日】2020年7月12日
【司 会】小島瑠璃子、森田洋平
【ゲスト】京都大学ウイルス・再生医科学研究所 教授…朝長啓造(ともながけいぞう)
【語 り】川野剛稔
【放 送】 毎週日曜 [Eテレ] 午後11時30分~0時
【再放送】 翌週土曜 [Eテレ] 午前11時~11時30分
サイエンスZEROで知っておきたいウィルスの正体をご紹介!ウィルスってどんなもんなの?
ウィルスの感染先はどんなものがあるの?
ヒトに感染するもの、動物・植物に感染するもの、微生物に感染するもの、感染先はさまざま。次のような例が紹介されました。それぞれ独特な形をしてます。着色は本来の色ではないようですが、アート作品みたいです。
- ヒトに感染:インフルエンザウィルス、新型コロナウィルス、エボラウィルス
- 動物・植物に感染:狂犬病ウィルス、タバコモザイクウィルス
- 微生物に感染:ピソウィルス、メドゥーサウィルス、エアロパイラム・パーニクス・スピンドル型ウィルス1、アシディアヌス・ボトル型ウィルス、T4ファージ
微生物っていうとゾウリムシやミジンコを連想しますけど、細菌やウィルスも分類上含まれるようです。余談です。
ウィルスのサイズ感は?
細胞の大きさは直径10マイクロメートル。これは0.01ミリメートル。1ミリの100分の1ですね。
細菌の大きさは直径数マイクロメートル。いろいろな大きさがあるんでしょうけど、細胞の3分の1とかそんなサイズ感でしょう。
対するウィルスは0.1マイクロメートル。0.0001ミリメートル。細胞の100分の1の大きさで、目には見えない存在。
細胞を500円玉(直径26.5ミリメートル)に見立てた時、髪の毛(直径0.1ミリメートル前後)を2~3本並べたのがウィルスって感じでしょうか。なんとなくサイズ感が分かった気がしませんか?
ウィルスの形が見えるようになったのはいつごろ?
細菌は17世紀にレーウェンフックが単式顕微鏡で観察したのが最初といわれています。ちっちゃいガラス玉を使った簡素な作りの顕微鏡のようですが、高い倍率だったそう。
ウィルスは細菌よりもさらに小さいので光学顕微鏡ではその姿を捉えることはできず、電子顕微鏡の発明を待たなくてはならなかったそうな。
1939年、ウィルスが初めて撮影されたとのこと。まだ比較的最近のことですよね。
コロナウィルスってどんなやつ?
最初のコロナウィルスの姿を捉えたのは1968年。かぜをひいた男の子の鼻の洗浄液から分離されたんだそう。特徴的なのがウィルスの外周にとげとげした突起がついていること。「フリンジ」と呼ばれ、その様子がラテン語の「冠や光の輪」を意味する「コロナ」を連想させたことから、コロナウィルスと命名されたんだそう。
このコロナウィルスが猛威をふるったのが今流行中の新型コロナウィルス含めて過去3回あったんですね。
- 2003年のSARS-CoV
- 2012年のMERS-CoV
- 2019年の新型コロナウィルス
新型コロナ、本当のお名前はなんちゅうの?
新型コロナウィルス、お名前を整理しておきましょう。
- ウィルスのお名前:SARS-CoV-2
- SARS-CoV-2がひき起こす病気のお名前:COVID-19(コビット-ナインティーン)
横文字ばっかりでややこしいですけど、ウンチクとして覚えちゃいましょう!
サイエンスZEROで知っておきたいウィルスの正体をご紹介!ウィルスの目的は「増殖すること」!
ウィルスは自分自身では増えることはできないそうな。その一方、細胞は遺伝情報から体に必要な物質を作る仕組みが備わっている。
ウィルスは細胞に侵入して、細胞が持つ仕組みを勝手に使うことで自分のコピーを作りまくるんだとか。
人間と同じような頭脳はないんだろうけど・・・頭良すぎ!!!
コロナウィルスの名前の由来となった外周のギザギザ。このギザギザした突起が、われわれの細胞へ侵入するためのカギになるんだとか。
細胞の表面には「レセプター」という部分があります。このレセプターにピタッと当てはまるものを細胞は受け入れてしまうため、ウィルスは細胞をだまして侵入してしまうんだとか。
細胞侵入の方法はウィルスによってさまざまらしく、コロナウィルスのようにウィルス本体がまるっと侵入するものや、遺伝情報だけを注射器のごとく細胞に注入するものなど、ウィルスたちも試行錯誤してきたみたいですね。
敵ながらあっぱれと感心しちゃいますね〜
ウィルスたちは、勝手に侵入して、勝手に増殖して、増えたら細胞をぶっ壊して外に出て行って、次々と増殖を繰り返して行きます。細胞たちにとっては大迷惑な、本当に勝手な奴らです。
サイエンスZEROで知っておきたいウィルスの正体をご紹介!ウィルスの病原性を決める要素とは?
次の要素のいくつかの組み合わせによって決まってくるんだそう。
- 増殖力
- 免疫の反応
- 感染する部位
- 伝播力
増殖による細胞破壊もウィルスの持つ毒性のひとつではあるけれども、発熱にしろせきにしろ、体に現れる症状は免疫の働きによるもの。免疫細胞が頑張っているから出てくる症状なんですね。
でもその免疫細胞、調子に乗りすぎて暴走しちゃうことがあって、敵のウィルスだけじゃなくて守るべき自分の体まで攻撃しちゃうことで、かえって病気を重症化させちゃうこともあるんだとか。
新型コロナの場合、免疫反応の暴走(サイトカインストーム)で、全身の血管に炎症が起こることでさまざまな重篤な症状が引き起こされるということも以前の放送で解説されていました。(サイエンスZEROで新型コロナ論文ビッグデータ解析を紹介!サイトカインストームと新治療戦略!!)
サイエンスZEROで知っておきたいウィルスの正体をご紹介!ネオウィルス学とは?
今までは病気を起こすウィルスの研究が中心だったものが、近年のゲノム解析の進歩によって未知のウィルス候補の発見が急増中で、この5年ほどで200倍にもなっているんだとか。
ゲノム解析で得られた未知のウィルスの情報から、将来新たなウィルスの脅威に対抗するための研究や、ウィルスの持つ役割について研究する『ネオウィルス学』という学問が始まっているとのこと。
病気を引き起こすやっかいな存在である反面、ウィルスの働きがなければ生態系が維持できないような役割を持ったものもあるんだとか。
実はウィルスは、薬にも毒にもなる存在なんだってこと。驚くことばかりです。
サイエンスZEROで知っておきたいウィルスの正体ををご紹介!関連リンク🎶
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