サイエンスZEROでDNAオリガミを紹介!医療分野への応用に期待大の最新技術!

こんにちは。

NHK Eテレで放送している『サイエンスZERO』。毎回毎回いま話題の最先端の科学と技術をとっても分かりやすく解説してくれるので、ワタクシの大好きな番組でもあります。今回は、2020年3月1日放送の「極小スケールの“ものづくり大革命”DNAオリガミ」をご紹介します!

ウイルスと同サイズの極小ロボットを作る新技術「DNAオリガミ」が急速に発展している。遺伝情報を伝える記録媒体のイメージが強いDNAだが、直径わずか2ナノメートルの“ヒモ”として利用、編み物のように自由自在に形を作ることができるという。DNAを「材料」として使う新発想。医療応用を目指すロボットも実現、がん治療に期待されている。一方、“生命の設計図”でもあるDNAを使う技術に倫理的な議論も始まった。

サイエンスZERO〜放送日と出演者

【放送日】2020年3月1日

【司 会】小島瑠璃子、森田洋平
【ゲスト】関西大学教授…葛谷明紀
【語 り】大嶋貴志

【放 送】 毎週日曜 [Eテレ] 午後11時30分~0時
【再放送】 翌週土曜 [Eテレ] 午前11時~11時30分



DNAオリガミとは、いったい何だ?サイエンスゼロで解説🎶

レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「モナ・リザ」は、世界で最も有名な絵画。現在フランスのルーブル美術館に収蔵されますよね。元祖「モナ・リザ」が描かれてからおよそ500年後の2017年、驚異的なサイズの「モナ・リザ」が発表されました。インフルエンザウィルスとほぼ同サイズの1マイクロメートル、人の髪の毛の1/100以下の大きさなんです!

この極小サイズの「モナ・リザ」はいったいどうやって描かれたんでしょうか???これこそが「DNAオリガミ」という最新技術で生み出されたものなんです。

開発したのはアメリカのポール・ロゼムンド博士。「おりがみ」をよく知らないまま「折る」という表現から雰囲気で名付けてしまったよう。実際には「織る」に近く、「おりがみ」よりは「織り物」の方がピッタリしますが、ワタクシ的には「オリガミ」の方が響きが可愛いらしくて結果オーライだと思いましたけど。

DNAオリガミ、混ぜてあっためて冷ましたら完成!?誰がやっても同じようにできるって???サイエンスゼロで解説🎶

そもそも「DNA(デオキシリボ核酸)」って何だっけ?

遺伝子=DNAだと思ってませんか?これちょっと違うんですよ。DNAには遺伝情報を持っている領域と持っていない領域で成り立っていて、遺伝情報を持っている領域部分=遺伝子 になるんですよ〜

そして、DNAは二重らせん構造をしていますが、AとT、CとGの4文字でできていて、AはTと必ずペアを組み、CはGと必ずペアを組む、というルールが厳密に決まっているそうな。誰が作ったんだか不思議な性質ですよね〜 この厳密なルールのおかげで、細胞分裂の際に遺伝情報を伝えるDNAの完コピができるんだとか。生命の神秘です!

DNAオリガミの素材はどんなもの?長〜いDNAと短いDNAを編み込んでいくゾ

メインパーツは輪っか状になった長〜いDNA。大腸菌に感染するウィルス由来のもので、世界中で同じものが使われているんだって。そして、この長いDNAを織り込んで変形させるために使う短いDNAが数種類。

そして、先ほどの「AはTと必ずペアを組み、CはGと必ずペアを組む」という性質をうまく使うことで、設計通りのDNAオリガミを作っていくんですが、長〜いDNAのどこにどの種類の短いDNAをくっつけるかをあらかじめ設計してあるので、混ぜて、90℃に加熱して、3時間かけてゆっくり冷ますと、できあがり!誰がやっても設計した形のDNAオリガミができるんだって。どんな形にするのかを決める最初の設計段階勝負なんですね。

DNAオリガミは設計次第で三角形、四角形、六角形、ニコちゃんマーク、などどんな形にもすることができるし、さらに立体にもできるんだって。短いDNAをどんだけ揃えられるか、うまい組み合わせができるか、パズルみたいですね。面白そう〜

DNAオリガミのプラスアルファの特徴!サイエンスゼロで解説🎶

DNAの狙った場所に新たなパーツを追加できるのが大きな特徴だとか。これによって、新しい機能を追加していくことができると。将来実用化が期待される二つの例をご紹介です。

血中のマイクロRNAを検出してがん診断!微量物質の簡単検出に期待の技術!

ペンチのように特定の物質を挟み込む機能を持たせたDNAオリガミ。番組ゲストの葛谷さんが開発中の立体的なDNAオリガミとのこと。特定のターゲットだけに反応してくっつく機能が付加されていて、ターゲット物質の存在を知らせる目印としての利用ができるということです。これまで検出が難しかったごく微量の物質を発見できるため、血液中のマイクロRNAを検出することでがん検診への応用が期待されている技術とのことです。

DNAオリガミで作るナノロボットの開発が進行中!

こちらも医療分野への応用技術ですが、さらに農業への応用領域を広げられる技術のようです。DNAオリガミで作られたナノサイズのロボットで、がん細胞だけを攻撃する抗体を格納する開閉可能な容器状の部分と、特定物質に反応するセンサー部分からできています。このロボットのセンサー部分ががん細胞に接触すると、ロボットが変形し、内部に格納されていた抗体ががん細胞めがけて発射され、がん細胞だけを攻撃することができるんだとか。この分野の研究は中国で盛んに進めていて、マウスの腫瘍の成長を抑えることができたという報告もあるようです。経済だけでなく基礎研究の分野も中国の躍進はすごいですね。


DNAオリガミ、超便利で期待特大の技術だけど、間違った使い方すると怖くない?サイエンスゼロで解説🎶

うまく使えば超便利なDNAオリガミの技術。その反面、間違った使い方すると恐ろしいものになる可能性も秘めています。技術開発とともに、倫理課題についての検討も深められているといいます。

分子ロボット技術倫理綱領(第1.2版)
①リスク・ベネフィットの総合評価
②安全と環境への配慮
③セキュリティとデュアルユース問題への留意
④説明責任と透明性の担保

軍事技術への転用、農薬に転用された場合の環境への拡散、自己複製能力が高いDNAを使うということ、間違った使い方をどう歯止めするかが大きな課題でもあるようです。どんな技術も同じような課題を含んでいますが、影響度が計り知れないものがあるかもしれないですね。

これからの人類の善意と英知に期待したいと思います!


サイエンスゼロ〜放送内容(ほぼ)全文

世界で最も有名とも言われる絵画「モナリザ」。このモナリザをまねた一風変わった絵が2017年に発表されました。注目はその大きさです。 なんと人の髪の毛の太さわずか0.1 mm 以下の、さらに1/100。1マイクロメートルにも満たない小さな絵です。目鼻立ちやほほ笑みをたたえた口元までが見事に描き出されています。インフルエンザのウィルスと比べてもこのくらい。本当に小さいですよね。
この驚きの絵画を生み出した最新技術、その名も「DNAオリガミ」。極小サイズのものづくりを可能にする画期的な発明として、今世界中で研究が進められています。使うのはその名の通り遺伝情報を記録するDNA。これをひものように使って折りたたんだり、編み込んだりすると、 細胞より小さなものを狙い通りに作ることができるといいます。さらにパーツを加えてこんな風に動かしたり、部品を組み合わせてがん細胞を攻撃するロボットまで作れちゃうんです。

どんな形を作って、どう組み合わせるかあれこれ考えていると非常にワクワクします。

未来の医療や農業を劇的に変えるかもしれない DNAオリガミの最前線をお伝えします。

う〜ん。初めて聞く言葉ですDNAオリガミ。でも DNA って、情報が入って、遺伝情報が分かるものっていう印象しかなくて、ものづくりに使うっていうのは今どういうことなんでしょう?

かなり興味そそられますよね。DeNA =遺伝子というわけではなくて、物質の名前、デオキシリボ核酸というものの略だということなんですね。今回はDNAという物質を素材としてものをつくるというお話なんです。では、さらに詳しく専門家に伺っていきたいと思います。この DNAオリガミについて10年以上研究を続けていらっしゃいます関西大学の葛谷明紀さんです。よろしくお願いいたします。

この DNAオリガミというのは、「オリガミ」世界中でオリガミっていうふうに使うんですか?
はい。実際にはですね、何かそのアメリカの人(発明者 ポール・ロゼムンド博士)が発明しまして、本当の折り紙っていうのをあまり意識しないまま「折る」っていうことから名付けたみたいなんですけども、それがその定着しまして。日本人と会うたんびに「あれは折り紙じゃないよ」って言われるみたいで。

葛谷さんとしたは何に近いっていうふうにお考えですか?

織物ですかね。機織りみたいなものをやっているというふうに思うと近いかなと思います。

実際どういったものが作れられるのか、こちらをご覧ください。

何か分かりますか?
ニコちゃんマーク。
そう。笑顔のマークもありますし。
右上は?あっ、世界地図ですか?
はいアメリカ大陸です。
すごい、アメリカ大陸だ。それを描いているんですね。
左下は。
はい。えっ?何か文字が書いてありますか?英語?何て書いてるあるかな?「DNA DNA」って書いてある。うわ。で、下はよく見るDNAのねじれた形を表現してる。
そのとおりです。
すご〜い。

ちなみに大きさは、花粉や細菌、ウイルスと比較するとこんな感じ。笑顔のマークのDNAオリガミ、ウイルスとほぼ同じサイズです。

すごくスケールの小さい話ですよね。
おっしゃるとおりです。文字どおり。
で、そのDNA を使ってどのようにして今のようなオリガミ作品が作られるのか、どう思いますか?
えっ、でも先ほど織物っていう話がありましたから、繊維を組み合わせていくっていうことですよね。織り機は何ですか?全然想像がつかないですね。



実際に作ってる様子を見せていただきました。

ということでやって来たのは関西大学。 早速葛谷さんに DNAオリガミづくりを見せてもらいます。
まずは鉛筆で設計開始。手書きでブロックのようなものを描いていきます。下書きをもとに、今度はパソコンに入力。 今回目指す形は、あの笑顔のマークです。どうやってこの形を作るんでしょうか?さあいよいよ製造開始です。最初に取り出したのはこちら。小さな容器がたくさん。葛谷さんたち、中の液体を吸い出して混ぜ始めました。

入っているのは DNA。それぞれ別の種類のものなんだとか。そして何やら機械にセット。この機械でで90℃まで温めてゆっくり冷ますといいます。

待つこと3時間。

先生この後は?
これで完成です。
これで完成?

え〜?笑顔のマークは本当にできているのか?特殊な顕微鏡で見てみます。さあ、果たして?

お見事!笑顔のマークが大量生産されていました。

私も最初に取り組んだ時はできるかどうか半信半疑だったんですけど、もう本当に、毎回こんな感じで、ちゃんと設計ができていれば望み通りの形ができてきます。

えっ?見ても何にも分かんなかったです。すみません。えっ、どの段階で・・・。だって、90℃にあっためて、3時間待ったら出来てましたよね。魔法みたいなことが起こって。あの混ぜてる時にはコツはありますか?
いや、もう誰が混ぜても同じだと。
え〜
実はこのDNAオリガミ、DNAがというものが持つある特徴をうまいこと使っているんですよね?

DNA二重らせんなんですけども、ここはこちらにありますようにCとG。そしてAとTの4文字からできています。ずっと見てみましても、どれもこの4文字だけからできておりまして、その中でAは必ずTとペアを組む。そしてC は必ずGと組むと。このようなルールが必ず厳密に決まっていると。
そうか。ペアが決まってるんですね。
そうですね。

AとT、GとCの、いわば相棒同士が自然にくっつく性質はDNAの最大の特徴の一つ。例えば細胞分裂のときも重要です。 遺伝情報を伝えるためには同じDNAを正確に複製して作る必要があります。 その時は2本の鎖が一旦ほどかれて、それぞれに新たな相棒がくっつきます。これで全く同じものが2つできました。DNA が遺伝情報を伝えられるのも相棒同士が自然にくっつくという性質のおかげなのです。

これがもうDNAの特徴なんですけれども、これがそのまま今のDNAオリガミで活用している性質になってきます。

それでは DNAオリガミの秘密を模型を使って解き明かしましょう!

これは実際に使われているDNAよりはだいぶだいぶ簡略化したものです。使うのはこのように輪っか状になった DNA なんですね。
DNAオリガミで使う1つの大事な材料が一本の鎖が非常に長いものを使います。だいたい世界中みんな同じものを使っておりまして、この一本鎖の DNA 実はウイルスから取り出してきているDNAなんです。
そうなんですか。
そのウィルスは人間に感染するウィルスではないんですね?
全くその通り。大腸菌に感染するようなもので。
この輪っかの DNA を織り込んでいくことで、先ほどのような様々な形を作っていくんです。

ではどうやって織るのか?こんなふうに右側の部分をくぼませるとしたら?
この時に使うのが実はこういったものなんですね。相方ですか?相方になるはずのもの?
そうです。そうです。これも DNA なんです。もともと使う輪っかのものよりはだいぶ短いものなんですけれども、これ(短いDNA)を混ぜ合わせることで形にしていくと。さあ、この状態からこれを使って、まずこっちをくぼませてみてください。
まずくっつけちゃおう。えーっとね。ちょっと待って。ここかなって今思ったんですよ。Tが3つあるから。でもここがね、合わないんですよ。
じゃあ、まずくっつくところからくっつけてしまいましょうか。
えーっと G と C。ATATAT。くっついた。GCGC。くっついたんだけど・・。
できました?
違うんですよ。これだとくっつかないから・・。ここじゃないのか。じゃあちょっと一回いいですか。
目的はまずこっちをくぼませることですね。
確かに目的はくぼませること。先生ヒントください。
ここはさっきのようにくっつけちゃって大丈夫ですよ。
えっ?大丈夫ですか?あっ、分かった。何もこことくっつくかなきゃいけないわけじゃないんだ。じゃあ、これがくっつくペアののところにいっちゃえばいいのか。ACT。あっACTだ!ACTがありました。こんなことしていいの?でも、くっつきました。くぼんだ。こういうことですね。こうすると・・・そうか。なるほど。わかった。絶対にペアが決まってるから、輪っかが自然にこの形になるって事ですね。
大正解です。
で、このような短い DNA が他にもあるんです。

他の DNAもみんなでくっつけてみることに。スタッフも参加してどんどんくっつけていくと 。

よし、完成〜。
できました。

DNA同士をこんなふうに編み込むことができました。このように、DNA と DNA をどんどん編み込んでいくと、笑顔のマークまで作ることができます。この仕組みを利用すれば、他にも四角形、三角形、様々な形を作ることができるんです。

DNAは自然に自分たちでくつきあってくれるんですもんね。
その通りです。
ベストなように。
もう DNA すごく賢いですね。
ほんとですね。
作りたい形に設計するっていうのは、でも人間の力ですよね?
そうですね。
DNA をどういう文字の配列でどういう長さにするか、パズルを解いてるみたいな何かそんな研究です。
へえ〜
立体にも組めますか?
できますよ。
すごくないですか?今平面のことしか考えてなかったですけど、立体にもなるように組めるんですね。
ちょっとこちらご覧いただきましょうか。
立体だ。 そうか立体も平面の組み合わせできるんですか。
全くその通り。組みあがった段階で、立体が直接出来上がる感じになってます。
へえ〜。すごい。

更にすごい特徴がありまして、それはこちらなんですね。分かります DNA の先にまた違う物質をくっつけることができるんですね。この DNAオリガミの作品にもう一つパーツをくっつけることができるというわけで。狙った場所に新たなパーツを付け加えられるというのもDNAオリガミの大きな特徴なんですね。

新たなパーツを付けることで DNAオリガミを使ったものづくりの幅をさらに広げた研究があります。東京工業大学の瀧ノ上正浩さん。瀧ノ上さんの研究チームが作ったのは六角形のプレート。これだけでは何がすごいのか全く分からないと思いますが、実は面白い性質を持っています。このプレートには片方の面だけに水となじみにくい物質を取り付けてあります。DNAはもともと水になじみやすいもの。そのため表と裏で性質が違うプレートが出来上がりました。すると面白い機能を発揮し始めます。プレートと水そして油を混ぜると、油の中にできた水滴の表面にプレートが集まってきました。水になじみやすい面が内側、馴染みにくい面が外側に向いて取り囲んで行きます。なんと自動的に球体のカプセルが出来上がりました。

実際の写真がこちら。もともとは単純な六角形だった DNAオリガミが別の物質を取り付けることで、新たなものづくりの部品となったのです。

DNA は新しく機能を足していくことができます。DNAを使う利点であり、重要なところと思っています。

すごい。この違う物質、違う機能を兼ね備えたものをつけることができるということの重要性がわかりました。こういうふうに使えるんですね。
はい。
魔法みたいな話ですね。ここに付ける物質次第でどういう特徴も兼ね備えられる。
もう夢が広がります。
そうなんですね。
何でもくっつけられますしね。革命的な技術だと思います。



では実際にこの技術を使ってどういったものを作って何に使うのか見てみましょう。

こちらは葛谷さんが開発したDNAオリガミです。これ立体で動いていてしかもペンチのようにものを挟むことができるんです。ターゲットとなる物質がやってくると・・。挟みました!秘密はこのへこんだ部分。ここには特定のターゲットだけに反応してくっつく物質が取り付けられています。実際にターゲットを捉えた時の写真です。ペンチがぴったりと閉じているのがわかります。特定のターゲットを見つけると、大きく形が変わるこのペンチ。 ターゲット物質の存在を知らせる目印として利用できます。これまで検出が難しかったごく微量の物質を簡単に発見でき、がん検診など医療分野での応用が期待されています。

例えば DNAの仲間のRNAっていうのがあるんですけども、これががんになった時にちょっと増えたりですとか減ったりですとかっていうことが分かるということで、そういうがんの診断に使うこともできるんじゃないかなっていうことを今考えています(血液中のマイクロRNAを検査→がんの診断に役立つ可能性)。
シンプルに見えるX状の形ですけれどもかなり色んな分野にも応用ができそうでしたよね。実はですねこの DNAオリガミの技術を使ってロボットを作ろうという研究も進んでいるんです

ロボットDNAオリガミ研究トップランナーの一人、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のショーン・ダグラスさん。世界中の注目を集めたある画期的なロボットを作りました。

私たちのナノロボットのモデルです。このロボットの大きさはインフルエンザウィルスの1/2ほど。 一見シンプルな形の中にすごい機能が満載なんです。例えば、突き出した2本の棒のような部分。実はこれロボットのセンサーにあたります。 ある特定の物質が触れるとセンサーが反応しロボットが変形。中から秘密兵器が登場します。なんとこれ、がん細胞を攻撃する抗体。そうこのロボットはがんを治療するために作られたものなんです。

ではその仕組みを見てみましょう。患者の体内に送り込まれたロボット。健康な細胞にぶつかっても何も反応しません。ところががん細胞に出会うと、表面の物質にセンサーが反応。するとロボットが変形。中から現れた抗体が攻撃を始めるのです。がん細胞だけを攻撃できれば、副作用が少ない画期的な治療法になると期待されています。
こちらは実際のロボットの顕微鏡写真です。ターゲットのがん細胞にセンサーが反応すると・・・。確かに変形しているのかわかります。
しかもこれカスタマイズが可能。センサー部分や中に入れる抗体を変えることで、様々な治療に応用できると考えられています。

私はこのロボットはスペースシャトルのようなものだと思っているんです。スペースシャトルは宇宙望遠鏡や観測機器、人工衛星などを目的に合わせて様々な物を宇宙に運ぶ輸送手段ですよね。 中身がなんだろうと機械さえ動けば運ぶことができます。ナノロボットも様々なものを思い通りの場所に届けてくれる輸送手段なんです。

これまで試験管の中で複数の白血病細胞をターゲットに実験。効果があることが分かっています。

う〜ん。がん治療の副作用というのは、 本来傷つけなくていい、攻撃しなくてもいいものまでお薬が攻撃をしてしまうということですよね。それがなくなったら助かる人がどんなにたくさんいるんでしょうね。
本当に。
この分野の研究どのくらい進んでいるんですか?
特に医療分野への応用は中国の研究者が盛んにやっていまして、例えばおととしですね、マウスに注射して、それで腫瘍の成長を抑えることができたというような報告までされています。
もう動物でもやってみてるんですね。
これ人間の体以外だと、どんなところに行きますか?
そうですね。例えば病気を治すという観点からすると、例えば植物も同じようなことができますので、病気を治す農薬のような応用はあるんじゃないかなと。もう本当に自分で発想したものが全部実現できるので、本当に夢のある研究だと思います。
これすごいぞ。これ何でもできますね。
医療分野の研究者が技術者の方に、こういった DNAオリガミを作って欲しいみたいなオーダーがどんどん増えてくるかもしれませんね。
それが今多分世界中で起こってることなんじゃないかなと思います。
なるほど。素晴らしい。



ただ一方で小島さん、これ扱っているのがDNA。我々生命の設計図ともいわれているものですよね。そこに関してはどうですか?
人に感染しないウイルスの DNAなら人間に関係がないんじゃないかと思ってしまったんですけど。どうなんでしょう?
よくホラー映画などで、だんだん新しいものが暴走して手に負えなくなるっていうのが定番だと思いますので、一応今のところはないだろうって思いつつも、その可能性もちゃんといつも常に頭の中に入れながら研究していかなきゃいけないなっていうのは、みんな話しているところです。

実際この分野の研究者の方々、非常に慎重にそのことを意識して研究を進めているということなんですね。冒頭ご紹介しましたけど、DNAって自己複製能力が非常にたかいもので、そのことで、最悪中の最悪のケース、こんな可能性についても考えを及ばせているんです。

東京工業大学の特任教授の小長谷明彦さん。DNAなどで作る小型ロボットの倫理などについて考えるプロジェクトの代表を務めています。

どんどん増えるようなナノロボットみたいなものができると、地球上がそれに覆われて人類が滅亡してしまうんじゃないかという話があるんですよね。そう簡単にどんどん増えるようなロボットというのは作れないんですけども、全く作れないかというと、ないわけじゃないですよね。だからやっぱり倫理がいるんです。
なるほど。自分たちで複製して増えていって、数が手に負えなくなるっていうこともあり得るわけですね。
今研究を進める上で、科学者を皆さんは倫理の面でも非常に検討を進めているということなんです。こちらをご紹介したいと思います。

こちらはですね、日本の科学者の皆さんがDNAオリガミを含める分子ロボット研究についてまさに作っている倫理の方針なんです。

分子ロボット技術倫理綱領(第1.2版)
①リスク・ベネフィットの総合評価
②安全と環境への配慮
③セキュリティとデュアルユース問題への留意
④説明責任と透明性の担保

DNAオリガミすごく役に立ちそうなんですけども、例えばですね、先ほどの農薬として考えると世界中にばらまくようなことになってしまいますので、無秩序にばらまかないよう、拡散しないように配慮するがあると。
それが「安全と環境への配慮」なんですね。
そしてデュアルユースというのが、特に民生用とあるいは軍事的にももしかすると利用の可能性があるということで、そういうことを想定してちゃんと慎重に取り扱っていきましょうというような趣旨になります。
確かに恐ろしい想像もできますね。
ちゃんと想定に入れながらやっていこうと。
う〜ん。使い方を間違ってしまうと、一気に全てが反転して恐ろしさ、マイナスに変わりますね。
今までないものですから、やっぱりそういうところまで考えていかないといけないということだと思います。
だからこそ、実用化される前から倫理の課題について検討を深めているんですね。
その通りです。
私たちが得るものが 大きいからこそ、取り扱いと考え方も一緒に成長していきたいですよね。せっかく素晴らしいか可能性を持っていて良いものですから。
ありがとうございます。

さあ今日ご紹介したDNAオリガミ。小島さんいかがでした?
ものすごい分野でした。ナノの世界でこんなに広がりがあって、可能性があって、なんでも起こりうる、何でも持ちうる世界があるんだと。何かちょっと目線が広がると言うか扉が開いた感じがしますね。素晴らしい分野ですね。

葛谷さん今日はありがとうございました。
ありがとうございました。

それでは「サイエンスZERO」次回もお楽しみに。



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