こんにちは。
NHK Eテレで放送している『サイエンスZERO』。毎回毎回いま話題の最先端の科学と技術をとっても分かりやすく解説してくれるので、ワタクシの大好きな番組でもあります。今回は、2020年1月5日に放映された『挑戦者たち!先端科学 激うまウニ×夢のクモ糸』の中から、「磯焼け」解決の画期的な方法 をご紹介します!この方法、実用化目指して鋭意研究が進んでいるようですが、実用化されればみんながハッピーになれるすごいワザになりそうです。
サイエンスZERO〜放送日と出演者
【放送日】2020年1月5日(初回放送2019年9月15日)
【司 会】小島瑠璃子、森田洋平
【ゲスト】宮城大学助教…片山亜優/慶應義塾大学特任講師…河野暢明
【語 り】大嶋貴志
【放 送】 毎週日曜 [Eテレ] 午後11時30分~0時
【再放送】 翌週土曜 [Eテレ] 午前11時~11時30分
サイエンスZERO〜『磯焼け』ってどんなメカニズムで発生するの?
『磯焼け』という言葉を聞いたことありませんか?浅い海の中で起きている現象で、海藻類がなくなって生き物がいない死んだような状態。なのに、ウニだけが大量発生しているような様子。何でエサもないようなところにウニばっかりウジャウジャいるんだろう?って不思議に思いますよね〜
この磯焼け、こんなメカニズムで発生するんですって。
- 海水温の上昇などをきっかけとして、一時的に海藻類が減少(磯焼けの始まり)
- 海藻がなくなったことで岩の表面にサンゴモという藻が現れ、化学物質を放出
- サンゴモの放出した化学物質に、海の中を漂っているウニの赤ちゃん(体長1mmくらい)が触れると、発育が促進されて岩の表面で暮らし始める
- 減った海藻類をウニが食べ尽くして、回復不能な状態まで磯焼けが進展
こんな状態になった海の中の様子を、テレビなんかで見ることになるんですね。サンゴモの放出物質とウニの赤ちゃんの連携で、磯焼けが回復不能な状態まで進んじゃうんですね〜これにはビックリです。
サイエンスZERO〜豊かな海を取り戻すにはどうすればいいの?
では、海藻が生い茂り、さまざまな生き物を育む豊かな海に戻すにはどうしたらいいんでしょう?まずは、腹ペコ状態の『磯焼けウニ』の駆除が必須!それは分かってんだけど、できない理由があるんですよね。そう、駆除には莫大なコストがかかるので、積極的にやろうという人がほとんどいない ってことなんです。そして、この磯焼けウニ、エサとなる海藻がないところで生活していてもともと腹ペコ状態なので、人間が食して美味しいものではないようです。番組でも試食していましたが、ウニ本来の風味はどこにもなくて海水の味しかしなかったようです。ということは、採っても商品にすることができないシロモノなんですね。
サイエンスZERO〜磯焼けウニに意外なエサを与えることで美味しく変身!
ウニの養殖は一般的にはエサに昆布やワカメを使っていて、養殖場所の制約があったり、エサのコストが高くつく問題があるようです。
そんな中、磯焼けを解消して、さらに磯焼けウニも美味しく変える新しい飼育技術を開発した方が現れました!九州大学大学院の栗田助教です。栗田さんは、ウニがもともと何でも食べる雑食性であることに着目しその辺に生えている草や葉っぱを与えてみたところ、クローバーを好んで食べることを発見しました。クローバーって、夏場どこにでも生えていますよね。しかも、一度植えてしまうと根っこが強くて除草剤かけないと駆除できないくらいしぶといです。
クローバーがウニのエサとして優れているところは次のような点でした。
- マメ科の植物でタンパク質を豊富に含む
- 日本全国どこでも取れてコストがかからない
- 農業や漁業にノウハウがなくても簡単にエサとして利用できる
確かに、磯焼けウニさえ安定的に入手できれば参入しやすい養殖対象になるかもしれませんよね。
サイエンスZERO〜クローバーでウニはどう変身したか?
では、クローバーを与えられた栄養失調だった磯焼けウニはどう変わったんでしょうか?こちらは商品としての実用化に向けて研究をしている、宮城大学の片山助教が答えてくれました。
ウニの商品価値を決める要素は、●見た目の鮮やかさ ●栄養分 ●味 の3つ。
- 見た目の鮮やかさ:天然ウニと遜色なし
- 栄養分:α-リノレン酸(高血圧予防に効果のあるオメガ3脂肪酸の一つ)が天然ウニの12倍含まれている!
- 味:「めちゃくちゃ美味しい!臭みがほんとうになくって!ずっと舌の上で美味しいウニの風味がある感じ。」(小島瑠璃子さん感激談)
このクローバーウニ、エサとして食べたクローバーに含まれる栄養素を直接引き継がれることが分かったそうです。
色よし、栄養よし、味よし で クローバーウニ(元磯焼けウニ)は大出世したみたいですね!
サイエンスZERO〜『クローバーウニ』実用化に向けての課題は何?
- 実用化に必要なクローバーの栽培コストがどのくらいかかるのかを明らかにすること。
- どのくらいのクローバーを与えると、ウニの身入りが良くなっていくのかを押さえること。
片山さんはこれらの課題を解決すべく、日々、こつこつと研究を進め、5年後には実用化できるようにしたいとのこと。片山さんはこの研究をワクワク楽しんでやっているのが分かりますね。近い将来、こじるりさん絶賛のクローバーウニの味を是非味わってみたいですね!
サイエンスZERO〜磯焼け解消の画期的方法のおさらい
- 磯焼けした海底から磯焼けウニを駆除
- どこにでも生える雑草のクローバーを磯焼けウニのエサとして与える
- 痩せた身が回復して磯焼けウニがクローバーウニに変身
- 美味しいウニを味わえるようになることで、商品価値のなかったウニが高値で売れるようになる
- 積極的に磯焼けウニを駆除する人が増え、磯焼けした海の回復に繋がる
クローバーウニ養殖がコスト的に見合うものになれば、上のサイクルがくるくる回るようになって、みんながハッピーになれるすごい仕組みが出来上がりそうですね。今後に期待です!
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